『銀河鉄道の夜』を読もうと検索したら、同じ題名のページがいくつも出てきた。違いが分からず、ダウンロードする前に止まってしまった方へ。
この記事では、初めて読む方に新潮文庫を底本とする図書カードNo.456をすすめます。BlueReaderの宮沢賢治紹介記事と同じ版なので、続けて読みやすいからです。ほかの版が誤りだという意味ではありません。
比較するのは、No.456と、角川文庫を底本とするNo.43737の二つです。物語の結末は説明せず、選ぶための書誌情報を先に整理します。
まず押さえたいこと:二つとも「新字新仮名」
この二つは「新しい文字の版と古い文字の版」ではありません。両方の図書カードとも、文字遣いは「新字新仮名」です。違うのは底本と本文です。12
| 確認する項目 | 図書カードNo.456 | 図書カードNo.43737 |
|---|---|---|
| 青空文庫の作品名 | 銀河鉄道の夜 | 銀河鉄道の夜 |
| 文字遣い | 新字新仮名 | 新字新仮名 |
| 底本 | 『新編 銀河鉄道の夜』新潮文庫、新潮社 | 『銀河鉄道の夜』角川文庫、角川書店 |
| 「底本の親本」の記載 | 『新修宮沢賢治全集 第十二巻』筑摩書房 | 『宮澤賢治全集 第十卷』筑摩書房 |
| 読む・変換するためのファイル | XHTML、ルビありテキストZIP | XHTML、ルビありテキストZIP |
出典はそれぞれの図書カードです。比較しているのは青空文庫で公開された特定の版で、いま書店に並ぶ同じ出版社の本にそのまま当てはまるとは限りません。12
「底本」は、入力に使った本のこと
青空文庫の図書カードには、作品を入力・校正する際に参照した本の情報が載っています。底本が異なれば、作品名が同じでも本文が同じとは限りません。
今回の二つには、「底本」とは別に「底本の親本」も記載されています。作品名と出版社名だけでなく、図書カードの番号まで残しておくと、後でどの本文を読んだのか確かめやすくなります。12
なお、「新字新仮名」は表記の分類であって、現代語訳や子ども向けの書き直しを意味しません。語句や時代背景の説明が添えられているわけでもありません。
本文は、表記だけでなく内容にも違いがある
青空文庫には、二つの底本を比べた「『銀河鉄道の夜』新潮文庫と角川文庫との相違」という比較資料があります。見出しの表記に加え、文や段落の違い、原稿の欠落を示す注記などが列挙されています。3
文字コードやブラウザの表示設定で生じた違いではないので、内容が一致しない箇所があってもファイルが壊れているとは限りません。
ただし、この比較資料は物語の後半にも触れています。初読の方は、読み終えるまで比較表を最後まで見ないことをおすすめします。また、資料自身が、句読点やルビなどの細かな違いの一部を比較から除いていると説明しています。完全な機械差分ではありません。3
初めて読むなら、まず一つを最後まで読む
版の比較は読む前の準備として必要ありません。一つを選び、ジョバンニのいる場所や目に入る景色を追ってください。
この記事から進む場合は、次の版で読み始められます。
学校や読書会で特定の本を指定されている場合は、その指定を先に確認してください。別の底本を使う相手と話すときには、ページ番号だけでなく、章や近くの短い語句も手がかりにすると話を合わせやすくなります。
角川文庫底本を読みたい場合は、次のページです。
角川文庫底本・No.43737の本文を読む / 図書カード・ダウンロード
読み終わってから、違いを楽しむ方法
全行を比べる必要はありません。印象に残った場面を一つ選び、もう一方の版ではどうなっているかを確かめます。
人物についての印象が変わったか、場面のつながりが違って感じられたか。その感想と、「どの文が違っていたか」という確認を分けておくと、比較が単なる間違い探しになりません。
一方を「正解」、もう一方を「間違い」と決める前に、図書カードと比較資料が何を示しているかを確かめてください。この記事では、作品の成立過程や研究上の版分類のすべてを説明しているわけではありません。
選んだ版をEPUBにするときの確認
本文を開いた図書カードと、ZIPをダウンロードする図書カードをそろえます。No.456の本文を読んでいたなら、ダウンロードもNo.456から行う、という具合です。
そのZIPを青空→EPUBで変換し、生成したEPUBをBlueReaderへアップロードします。BlueReaderはサーバーで解析してから読む方式です。4
EPUBに変換しても、底本の違う二つの本文が同じ内容になるわけではありません。どのファイルを入れたか分かるよう、元のZIPと図書カードの番号を控えておくと安心です。
よくある質問
ファイルが二つあるのは、どちらかが古くて使えないからですか?
今回の二つは異なる底本から作られた公開ファイルです。更新日の新旧だけで優劣を決めず、底本と本文を確認してください。12
新字新仮名なら、二つとも同じ文章ですか?
同じではありません。文字遣いの分類と、本文の版の違いは別です。公式の比較資料にも本文の相違が記載されています。3
最初に、版の違いを全部理解する必要はありますか?
ありません。一つの版の冒頭を読み、物語の調子が合うかを確かめるところから始めれば十分です。
別の宮沢賢治作品も試したい方は、短い作品から『銀河鉄道の夜』へ進む読書案内へどうぞ。
Footnotes
-
青空文庫「図書カード:銀河鉄道の夜 No.456」。文字遣い、底本、親本、提供ファイルを確認。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
青空文庫「図書カード:銀河鉄道の夜 No.43737」。文字遣い、底本、親本、提供ファイルを確認。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
青空文庫「『銀河鉄道の夜』新潮文庫と角川文庫との相違」、土屋隆作成、2005年6月29日。資料の比較対象・除外事項も参照。後半の内容を含むため読後向け。 ↩ ↩2 ↩3
-
BlueReader「青空文庫をEPUBに変換してBlueReaderで読む方法」。青空→EPUBで変換し、BlueReaderにEPUBをアップロードすると、サーバーで解析されます。 ↩