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EPUB READING GUIDE

宮沢賢治はどれから読む?短い作品から『銀河鉄道の夜』へ

宮沢賢治の最初の一作に迷ったら。『注文の多い料理店』『やまなし』『よだかの星』『セロ弾きのゴーシュ』から『銀河鉄道の夜』へ、読みたい雰囲気で選ぶ5作品を紹介。青空文庫の本文・図書カードへのリンク付き。

『銀河鉄道の夜』は知っている。けれど、宮沢賢治の作品を最初から最後まで読んだことはない。青空文庫で探してみても、どれを選べばよいか迷ってしまう。

そんなときは、いきなり代表作を読み切ろうとせず、短い物語で言葉や風景の雰囲気をつかむのが近道です。

この記事では、『注文の多い料理店』『やまなし』『よだかの星』『セロ弾きのゴーシュ』の4作品と、その先の一冊として『銀河鉄道の夜』を紹介します。読む順番に決まりはなく、最初から『銀河鉄道の夜』を選んでもかまいません。

物語の結末は明かさず、どこに面白さを感じそうかを案内します。気になる作品があれば、各紹介のリンクから青空文庫の本文を開いてみてください。

最初の一作は、好きな読み味から選ぶ

以下は作品本文をもとにした編集上の提案です。難易度や文学的な優劣を並べたものではありません。

こんな読書をしたいとき最初の候補注目してみたいところ
先が気になる物語から入りたい『注文の多い料理店』1扉の向こうへ進むたびに増える違和感
色や光を思い浮かべながら読みたい『やまなし』2水の底から見える世界と、季節の違い
孤独や居場所について考えたい『よだかの星』3周りの鳥の言葉と、よだか自身の思い
音楽や、人との関わりを楽しみたい『セロ弾きのゴーシュ』4音を出すことと、相手の音を聞くこと
幻想的な旅にじっくり浸りたい『銀河鉄道の夜』5日常の風景から、星の間を進む旅へ

短い作品でも、言葉の意味や登場人物の気持ちを考え始めると、ゆっくり読みたくなることがあります。「短いから簡単」とは限らないので、いま読みたい雰囲気で選んでください。

1. 『注文の多い料理店』物語の先が気になるところから

山奥へ狩りに出かけた二人の紳士が、帰り道を見失います。お腹をすかせた二人の前に現れるのは、一軒の西洋料理店。中へ入ると、扉ごとにさまざまな案内が書かれています。1

最初の一作に迷うなら、まずこの二人についていってください。次に何が書いてあるのか、二人はどう受け止めるのか。出来事を追っているうちに、少しずつ気になる点が増えていきます。

読みどころは、案内の言葉そのものだけではありません。二人がそれを自分たちに都合よく受け取っていないかにも目を向けてみてください。読者の感じる違和感と、二人の安心した様子との距離を楽しめます。

読む前のひとこと: 山へ狩りに来た二人の紳士の話ですが、穏やかな話ばかりではありません。少し怖い展開や、皮肉のある会話を楽しみたいときにどうぞ。

『注文の多い料理店』を青空文庫で読む / 図書カード・ダウンロード

2. 『やまなし』言葉を、風景として味わう

舞台は谷川の底。二匹の蟹の子どもたちが話し、水面を通して光や魚の動きを眺めています。作品は「五月」と「十二月」の二つの場面からできています。2

事件を追う話ではありません。水の色、泡の動き、光の揺れを思い浮かべながら読む作品です。蟹たちのいる場所から上を見ると、いつもの川も違う世界のように感じられます。

「クラムボンとは何か」に答えを出さなくても、読み進められます。最初は音の響きや前後の言葉から浮かぶものを受け取り、二つの季節で景色や気分がどう変わるかを比べてください。

読む前のひとこと: 解説を読んで意味を整理する前に、まず一度、色や音に注意して読むのがおすすめです。『銀河鉄道の夜』の風景を味わうときにも、この読み方が生きます。

『やまなし』を青空文庫で読む / 図書カード・ダウンロード

3. 『よだかの星』誰かの居場所について考えたい日に

よだかは、ほかの鳥たちから姿をからかわれ、避けられています。さらに鷹からは、自分と似た名前を使うなと迫られます。何か悪いことをしたわけではないのに、なぜ嫌われるのか。よだかはその理由を考えます。3

この作品では、周囲の言葉がよだかにどう届くかを追ってみてください。言った側には短い一言でも、受け取る側には重く残る。その差を感じ取ると、鳥の世界の話では片づけられなくなります。

一方で、よだか自身も、生きるためにほかの命を食べています。自分が傷つけられるつらさだけでなく、自分の生き方にも思いが向く。そこで立ち止まって読みたい作品です。3

読む前のひとこと: いじめや孤独、生きることの苦しさに触れる場面があります。短い童話だから気軽に読めるはず、と無理をせず、その日の気分に合わせて選んでください。

『よだかの星』を青空文庫で読む / 図書カード・ダウンロード

4. 『セロ弾きのゴーシュ』音と会話から読んでみる

ゴーシュは、楽団でセロを弾いています。合奏がうまくいかず、練習では楽長に叱られてばかり。家に帰っても練習を続ける彼のもとへ、夜になると動物たちが訪ねてきます。4

ここでは、演奏が上達するかどうかだけでなく、ゴーシュが相手の言葉や音をどう受け止めているかに注目してください。余裕がないときに聞こえるものと、相手に耳を向けたときに聞こえるものは違います。

音を文字で表した箇所や、動物との少しかみ合わない会話にも面白さがあります。楽器や音楽用語をすべて知っている必要はありません。頭の中で音を鳴らすように読んでみてください。

読む前のひとこと: 動物との交流は、優しい場面ばかりではありません。ゴーシュのいらだちや不器用さも含めて、人物の変化を追いたい一作です。

『セロ弾きのゴーシュ』を青空文庫で読む / 図書カード・ダウンロード

5. 『銀河鉄道の夜』もう少し長く、この言葉の世界にいたくなったら

学校の授業でうまく答えられないジョバンニ。彼の仕事や家での暮らしが描かれたあと、物語はカムパネルラと銀河鉄道に乗る幻想的な旅へ進んでいきます。5

題名から星空の旅だけを想像していると、その前の日常が長く感じられるかもしれません。けれど、ジョバンニがどんな一日を過ごし、誰と話せずにいるのかを見ておくと、旅の途中の会話にも目が向きます。

短い作品で好きになったところを手がかりにすると、入りやすくなります。『やまなし』の光にひかれたなら風景を、『よだかの星』の気持ちが残ったなら人物同士の距離を追う、という具合です。作品同士のつながりを示すものではなく、あくまで読むときの視点です。

読む前のひとこと: 一度で全体の意味をつかめなくても問題ありません。一つの節を読み、印象に残った風景や会話を覚えておく。その積み重ねで旅を味わってください。

『銀河鉄道の夜』を青空文庫で読む / 図書カード・ダウンロード

『銀河鉄道の夜』は、どの版を開けばいい?

青空文庫には、底本や文字遣いの異なる同名の図書カードがあります。この記事のリンク先は、図書カードNo.456、新字新仮名、新潮文庫『新編 銀河鉄道の夜』を底本とする版です。ほかの版が誤っているわけではなく、読み始める先を一つに絞るための選択です。6

ほかの4作品も、リンク先には新字新仮名の版を選びました。新字新仮名は現代語訳ではないので、古い言い回しや見慣れない言葉はそのまま残ります。7

4作品を全部読んでから進む必要はない

短い作品は、『銀河鉄道の夜』を読むための宿題ではありません。今回の順番も、出版順や難易度順ではなく、入り口を選ぶための並べ方です。

風景が気になったら『やまなし』から『銀河鉄道の夜』へ。人物の不器用さをもっと読みたくなったら『セロ弾きのゴーシュ』を先に。少し不穏な展開を楽しみたい日は『注文の多い料理店』だけを読む。そんな選び方で十分です。

一作品が好みに合わなかったとしても、それだけで宮沢賢治を苦手と決めるのは早すぎます。調子の違う別の作品を開いてください。

青空文庫で読む・EPUBにして続きを持ち歩く

各作品の「青空文庫で読む」リンクから、ブラウザで本文を開けます。まず読んでみるだけなら、BlueReaderへの登録やEPUBへの変換は必要ありません。

PCとスマートフォンで同じ本を続けて読みたい場合は、図書カードからテキストZIPを入手し、青空→EPUBで変換したEPUBをBlueReaderへ追加してください。BlueReaderでは、EPUBをアップロードし、サーバーでの解析が終わると読み始められます。 同じアカウントで読書位置を引き継げます。8

変換前のZIPではなく、生成されたEPUBを追加してください。変換後のファイルは手元にも保管し、本文やルビの表示を確かめてから読み進めます。

青空文庫をEPUBに変換してBlueReaderで読む方法

ほかの作家も含めて短い物語を探したい方には、青空文庫で最初に読みたい短編7選もあります。

最初の一作に求めるのは、名作の制覇ではなく、もう少し読みたいと思える言葉です。今日はどんな風景や声に触れたいかで選んでください。


Footnotes

  1. 宮沢賢治『注文の多い料理店』、青空文庫。冒頭の狩りと道迷い、料理店の扉の案内と二人の会話を参照。結末は紹介していません。 ↩ ↩2

  2. 宮沢賢治『やまなし』、青空文庫。「五月」「十二月」の構成、水中の光や蟹の会話を参照。「クラムボン」の意味を特定する解釈は採用していません。 ↩ ↩2

  3. 宮沢賢治『よだかの星』、青空文庫。周囲の鳥と鷹の言動、よだかが虫を食べることについて考える場面を参照。 ↩ ↩2 ↩3

  4. 宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』、青空文庫。冒頭の合奏と自宅での練習、動物の来訪を参照。演奏の結末は紹介していません。 ↩ ↩2

  5. 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、青空文庫。冒頭の授業と仕事、銀河鉄道での旅を参照。人物の行く末は紹介していません。 ↩ ↩2

  6. 青空文庫「図書カード:銀河鉄道の夜(No.456)」。文字遣い、底本、別の版に関する案内。 ↩

  7. 青空文庫の図書カード:注文の多い料理店(No.43754)、やまなし(No.46605)、よだかの星(No.473)、セロ弾きのゴーシュ(No.470)。文字遣いと提供ファイルを確認。 ↩

  8. BlueReader「青空文庫をEPUBに変換してBlueReaderで読む方法」。変換先、EPUBのアップロード、サーバー解析、読書位置の同期、元ファイルの保管については既存ガイドに沿っています。 ↩

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