読みたい本は決まったけれど、読み切るまで何日かかるのか気になる。『こころ』や『人間失格』のように題名をよく知っている作品ほど、途中で投げ出したくないと身構えてしまいます。
読書時間は、読む本文の長さと、その作品を自分が読むペースの組み合わせで考えます。ページ数だけで判断したり、他人の読了時間をそのまま当てはめたりせずに済む方法です。
この記事では、作品別の実測文字数や実測読了時間は示していません。二作品の区切りを確認したうえで、仮の文字数を使った計算例と、自分の予定に置き換える方法を紹介します。例の数値は『こころ』『人間失格』の文字数ではありません。
最初に、どこで区切れる本かを見る
『こころ』は「上 先生と私」「中 両親と私」「下 先生と遺書」の三部に分かれ、それぞれに番号付きの節があります。『人間失格』には「はしがき」、第一から第三までの手記、「あとがき」があり、第三の手記はさらに区切られています。12
| 作品 | 本文で確認できる区切り | 最初の読み方の提案 |
|---|---|---|
| こころ | 三部と、その中の番号付きの節 | 「上」の最初の一節から、無理のないところまで |
| 人間失格 | はしがき、各手記、あとがき | はしがきと第一の手記を混同せず、語りの入口を確認する |
節や手記の長さは均等ではありません。一節にかかった時間に節の数を掛けても、全体の時間にはなりません。
一日で読み終える予定を先に立てるより、最初の読書でどこまで自然に進めるかを確かめるほうが、自分に合った計画を立てられます。
時間の見積もりは「文字数 ÷ 1分に読む文字数」
計算そのものは、次のようになります。
本文を読む時間の目安(分)
= 対象本文の文字数 ÷ 自分の読むペース(文字/分)
たとえば、仮に10万字の本文を1分に500字のペースで読むなら、200分、つまり3時間20分です。これは算数上の例であり、どちらかの作品の実測値でも、人の標準的な読書速度の主張でもありません。
同じ仮の本文でも、立ち止まる頻度によって予定は変わります。
| 仮の本文量 | 仮に毎分300字で読む場合 | 仮に毎分600字で読む場合 |
|---|---|---|
| 5万字 | 約2時間47分 | 約1時間24分 |
| 10万字 | 約5時間34分 | 約2時間47分 |
| 15万字 | 約8時間20分 | 約4時間10分 |
端数は分単位で切り上げています。表の速度は比較のための仮定で、速いほうを目指すための表ではありません。
自分の読むペースを調べる
まず、実際に読む予定の本文を数分から十数分、いつもどおりに読んでみます。読む速度を上げようとせず、必要なら言葉も調べてください。
読んだ範囲の文字数を数え、かかった時間で割れば、その範囲でのペースを出せます。たとえば、10分で4,000字を読んだ場合は毎分400字です。この4,000字も計算を説明するための例です。
一か所だけで決めず、会話の多い場面と考えを述べる文章の両方で試すと、見積もりに幅を持たせられます。先の内容を無理に確かめる必要はなく、読み進めながら予定を直せば十分です。
辞書を引いた時間を含めて測るなら、それを普段のペースとして扱います。辞書時間を除いて測ったなら、後で別に余裕を見込みます。両方に足して二重に数えないよう注意してください。
「文字数」に何を入れたかもそろえる
本文の文字数を比較するなら、数え方の条件を合わせます。とくに青空文庫のXHTMLをコピーすると、ルビの読みまで文字列に含まれることがあります。
目安として数える場合も、作品名、著者名、入力者・底本などの情報は本文から外し、ルビ、句読点、空白を含めたかを控えておくと比較しやすくなります。章見出しを含めるかどうかも、全作品でそろえます。
また、ZIPのファイルサイズは本文の文字数ではありません。圧縮されたファイルの大きさを、読む時間の代わりにしないでください。
同じ条件の数値をそろえられないなら、「この本は何時間」と精密な数字を出すより、一区切り読むのにかかった時間を基準に予定を組むほうが現実的です。
合計時間を、一日の読書に割り振る
仮に本文を読む時間が240分と見積もれた場合、毎日15分なら16回、30分なら8回です。これも特定作品の実測ではありません。
その回数を、必ず守る期限にする必要はありません。一日休んだら、翌日に二倍読むのではなく、終了日を一日後ろへずらす。会話が気になって読み直したら、そのぶん予定に余裕を持たせる。計画は読むことを助けるために使います。
『こころ』なら番号付きの節を、「今日はここまで」という目印にできます。『人間失格』では、手記を一回で読み切ろうとせず、場面の切り替わりで区切るとよいでしょう。12
短いことと、読みやすいことは別
数字上の本文量が少なくても、言葉を確かめたり、気持ちを落ち着けたりしながら読みたくなる作品があります。
『人間失格』には、自傷や死、依存、性的な被害などの重い内容が含まれます。時間内に読み終えることより、その日の気分を優先してください。途中でやめてもかまいません。『こころ』も死や人間関係をめぐる重い内容を扱います。12
「いまは一作を読み終える感覚を味わいたい」なら、青空文庫の短編7選から選んでください。長い本へ進むための練習ではなく、短編そのものを楽しむための選択です。
読む場所を変えても、同じ本の続きを
青空文庫の本文をブラウザで読めるほか、テキストZIPを青空→EPUBで変換してBlueReaderへアップロードすることもできます。サーバーでの解析後に本棚から開けば、同じアカウントで別の端末から続きを読めます。3
時間の見積もりがまだなくても、読書は始められます。『こころ』の序盤で迷っているならネタバレなしの読書ガイドを、途中で止まった本へ戻りたいなら読みかけの名作との付き合い方を参考にしてください。
今日の読書は、「あと何時間残っているか」だけでなく、「一区切り読んで何が心に残ったか」でも振り返ってみてください。
Footnotes
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夏目漱石『こころ』、青空文庫。図書カードNo.773。三部構成・節見出し、冒頭、内容上の注意を確認。文字数と読了時間の実測根拠には使っていません。 ↩ ↩2 ↩3
-
太宰治『人間失格』、青空文庫。図書カードNo.301。はしがき・手記・あとがきの構成と内容上の注意を確認。文字数と読了時間の実測根拠には使っていません。 ↩ ↩2 ↩3
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BlueReader「青空文庫をEPUBに変換してBlueReaderで読む方法」。変換先は青空→EPUB、BlueReaderはEPUBのアップロードとサーバー解析が必要。 ↩