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樋口一葉はどれから読む?『たけくらべ』へ進む読書案内

樋口一葉の『大つごもり』『十三夜』『にごりえ』『たけくらべ』を、会話・暮らし・町の関係から読む案内。旧仮名と文語の文章に慣れるための手がかりも紹介します。

『たけくらべ』という題名は知っていても、冒頭を開いて文の長さに戸惑ったことはありませんか。樋口一葉の文章は、現代の口語小説と同じ速さで読めなくて当然です。

ここでは『大つごもり』『十三夜』『にごりえ』『たけくらべ』の四作品を紹介します。どれも簡単というわけではありません。どの場面からなら人物の気持ちに入れそうか、それを選ぶための案内です。リンク先は、新字旧仮名の版です。1234

題名の有名さより、追いたい場面で選ぶ

入口作品追ってみたいもの
年末の仕事と暮らし大つごもり奉公人が頼み事をするまでの距離
家族の話し合い十三夜言いたいことと引き止める言葉
店と町の人間関係にごりえ客に見せる顔と一人の事情
子どもたちが暮らす町たけくらべ遊びの関係と家の仕事

表の順番は一つの提案です。『たけくらべ』が気になっているなら、そこから始めてかまいません。

『大つごもり』年末の忙しさを手がかりに

奉公するお峯は、家の仕事をこなしながら、身近な人の苦しい暮らしにも向き合います。題名の「大つごもり」は年の最後の日。時間と金銭の余裕がない中で、頼み事が簡単にはできない立場が描かれます。1

当時の暮らしの仕組みを調べる前に、まず誰が誰に何を頼もうとしているかを押さえてください。主従の距離や家計の苦しさが、会話の言いにくさとして見えてきます。

短い話ですが、軽い読後感で終わる作品ではありません。出来事をすぐ善悪で割り切らず、選択肢の少ない人がどう考えるかを追ってください。最初の数段落で主人と奉公人のやり取りをつかめば、文体にも慣れてきます。

『大つごもり』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

『十三夜』話し合うほど、簡単には決まらない

嫁ぎ先での暮らしに苦しむお関が、親の家を訪ねます。家族の会話を通して、本人の願い、子どものこと、周囲の考えが重なっていきます。2

会話を追うのが好きな方に向いた入口です。話し手が変わるところで少し止まり、その人が何を心配しているのかを一言で書き留めてください。本人を案じる言葉が、本人の望む方向へ必ず向かうとは限りません。

現代の自分ならどうするかを考えるのは自由ですが、それだけで人物を裁かないほうが文章を細かく読めます。言いかけて引っ込めたことはないか、言えなかった言葉はないか。そこに注意しながら、結末まで本文で確かめてください。

『十三夜』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

『にごりえ』店で見える姿と、その外側

にぎやかな店先で客を呼ぶ声から、人々の関係が描かれていきます。お力は周囲から目を向けられる人物ですが、外から見える評判だけでは、その人の事情までは分かりません。3

一人の心情を追うより、誰が誰について話しているかに注目すると読みやすくなります。うわさ、商売の言葉、本人の言葉は、同じ種類の情報ではありません。

登場人物の事情には、貧困や性的な搾取、暴力に関わる重さがあります。気分が和らぐ話を読みたい日には、別の作品を選んでください。筋を要約で先に知るより、店の明るさと人々の暮らしの隔たりを場面ごとに読んでほしい作品です。

『にごりえ』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

『たけくらべ』町の暮らしの中に子どもを見る

冒頭には、吉原の近くの町と、そこで営まれる仕事や暮らしが描かれます。その中で、美登利や信如、正太郎らの関係が動いていきます。子どもたちの世界が町から切り離されていない点が、読むときの手がかりになります。4

冒頭の長い文章では、地名を覚えるより、人の流れやお金が町とどう結びついているかに目を向けてください。そこで遊ぶ子どもにも、家の仕事や将来の立場があることが見えてきます。

恋の行方だけを追うと、町の描写は遠回りに見えます。遊びやけんか、会話を、その子がどの家の子かと合わせて読むと、冒頭の風景が人物の関係につながります。

『たけくらべ』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

旧仮名と長い文に慣れる三つの手がかり

まず、会話のかぎ括弧を手がかりに、話す人を確かめます。次に、一文の終わりを待たず、動作や考えの主が変わるところで意味を区切ります。最後に、分からない語を調べる前に、何を頼む、どこへ帰る、誰に会うという場面の骨組みをつかみます。

どれも原文を現代語に置き換えずに読むための手がかりです。なお、新字旧仮名の版でも、語彙や文体まで現代の言葉になるわけではありません。読み方に迷った表記は、新字・旧字と仮名遣いの案内も参考になります。

一度にたくさん理解しようとせず、会話がつかめた場面でその日は終える。翌日は少し前から読み直すと、人物の声に慣れていきます。

読む場所を整えて、少しずつ続ける

図書カードのリンクから本文を試せます。自分に合った文字サイズで読み続けたい場合は、テキストZIPを青空→EPUBで変換し、BlueReaderへEPUBをアップロードしてください。アップロード後、サーバーでの解析が終わると読めます。5

操作は青空文庫をEPUBで読むガイドへ。最初の一作は、一葉を理解するためではなく、この会話の続きを聞きたいと思えるかどうかで選んでください。

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Footnotes

  1. 樋口一葉『大つごもり』、青空文庫。本文、図書カード No.56039。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2

  2. 樋口一葉『十三夜』、青空文庫。本文、図書カード No.56040。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2

  3. 樋口一葉『にごりえ』、青空文庫。本文、図書カード No.56042。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2

  4. 樋口一葉『たけくらべ』、青空文庫。本文、図書カード No.56041。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2

  5. BlueReaderの青空文庫EPUB変換ガイド。青空→EPUBによる変換、EPUBのアップロードとサーバー解析、同じアカウントでの読書継続について。 ↩

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