海外文学に興味はあるけれど、長い小説や原文から入るのは少し身構える。それなら、日本語訳の短編を一つ読むところから始めてみてください。
今回は、青空文庫の図書カードで案内されている三人の作家の五作品を選びました。作者名に加えて、実際に読む日本語訳の訳者も示します。同じ題名でも訳が複数あるため、紹介はリンクした版に基づいています。12345
どんな物語を読んでみたい?
| 気になる題材 | 作品 | 今回案内する訳者 |
|---|---|---|
| 誰かに贈りたいという気持ち | オー・ヘンリー『賢者の贈り物』 | 結城浩 |
| 病室から見える景色と希望 | オー・ヘンリー『最後の一枚の葉』 | 結城浩 |
| 親切と相手への思い込み | オー・ヘンリー『魔女のパン』 | 山本ゆうじ |
| 見つからない物をめぐる推理 | ポー『盗まれた手紙』 | 佐々木直次郎 |
| 小さなおもちゃが進む世界 | アンデルセン『しっかり者のすずの兵隊』 | 楠山正雄 |
並びは難易度順でも人気順でもありません。紹介は物語の入口までにとどめ、仕掛けや結末には触れません。
1. 『賢者の贈り物』何を渡すかより、なぜ渡したいか
クリスマスを前に、デラは夫への贈り物を考えています。しかし、手元にあるお金は十分ではありません。まずは、その乏しいお金を数え直す場面を読んでみてください。1
有名な結末を知っていても、贈り物の答え合わせだけで終わらせるのは惜しい作品です。ためらい、期待、相手にどう思われるかという心配が、ささやかな行動や短い言葉に表れています。
二人の気持ちに点数をつけるより、自分が誰かに何かを贈りたいと思ったときのことを思い出しながら読んでください。
『賢者の贈り物』の公開本文を読む / 図書カード・本文・配布情報
2. 『最後の一枚の葉』窓の外の景色が持つ意味
病気で床に就いている若い女性が、窓の外の葉に自分の気持ちを重ねます。身近な人が声をかけても、その思いはなかなか届きません。2
励ます言葉の中身だけでなく、それを聞く側にどんな景色が見えているかに注目してください。同じ部屋にいても、同じものを見ているとは限りません。
希望を描く物語ですが、病気や死にも触れるので、軽い話を読みたい日には別の一作を選んでください。結末を知る前に、まず二人の会話に耳を傾けてほしい作品です。
『最後の一枚の葉』の公開本文を読む / 図書カード・本文・配布情報
3. 『魔女のパン』よかれと思う気持ちを見つめる
親切なミス・マーサの行動をめぐる、ほろ苦い短編です。結果は伏せておきます。手がかりにしたいのは、相手を助けたいという気持ちと、相手の事情を本当に知っているのかという問いです。3
日常でも、相手が何を必要としているかを、こちらの想像で埋めることがあります。読み終えたら、どれが確かめられた情報で、どれが推測だったかを振り返ってみてください。
この訳の本文は青空文庫内にはなく、図書カードから外部の公開先へ案内されています。閲覧先と提供形式は図書カードで確認してください。
4. 『盗まれた手紙』探し方そのものが気になってくる
デュパンのもとへ、ある手紙を探す相談が持ち込まれます。徹底的に調べたはずなのに見つからない。この状況をどう考えるかが、物語の入口です。4
読む前に「どこに隠したのか」を調べてしまわず、相談者がどんな探し方を当然と考えているかを追ってください。手がかりの多さより、問題の捉え方にこそ面白さがあります。
会話や考察をじっくり追いたい方に向いています。短編ですが、説明を一度で飲み込もうとしなくて大丈夫です。
『盗まれた手紙』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報
5. 『しっかり者のすずの兵隊』小さな目線で、大きな世界を見る
おもちゃの兵隊たちの中に、一本足の兵隊がいます。彼の目に映る踊り子や部屋の品々から、小さな世界の物語が生まれていきます。5
子ども向けだから単純だと決めつけず、動けるものと動けないもの、見ることと伝えることの違いに注目してください。身の回りの大きさが変わるだけで、見慣れた場所も別の風景になります。
危険や悲しさもある物語です。楽しい冒険を期待するより、兵隊の目の高さから世界を眺めるつもりで読んでください。
『しっかり者のすずの兵隊』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報
訳者と、実際に開くページを確かめる
『賢者の贈り物』『最後の一枚の葉』の図書カードは、結城浩さんの公開HTMLへつながっています。『魔女のパン』も外部の配布先への案内です。一方、今回の『盗まれた手紙』『しっかり者のすずの兵隊』には、青空文庫内のXHTMLとテキストZIPがあります。五作品の配布形式はそろっていません。12345
読むだけなら、本文をブラウザで開けば十分です。EPUBにしたい場合、HTMLのURLをそのままBlueReaderへ追加することはできません。テキストZIPがある作品は、青空→EPUBを使った変換ガイドの手順で変換できます。6
訳で気に入った作品に出会えたら、同じ作家の別の短編や原文へと読書を広げられます。まずは題名ではなく、気になった状況から一作を選んでください。
次の読書につながる記事
Footnotes
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オー・ヘンリー『賢者の贈り物』、結城浩訳、青空文庫。本文、図書カード No.536。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3
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オー・ヘンリー『最後の一枚の葉』、結城浩訳、青空文庫。本文、図書カード No.532。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3
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オー・ヘンリー『魔女のパン』、山本ゆうじ訳、青空文庫。図書カード No.4828。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3
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エドガー・アラン・ポー『盗まれた手紙』、佐々木直次郎訳、青空文庫。本文、図書カード No.42338。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3
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ハンス・クリスチャン・アンデルセン『しっかり者のすずの兵隊』、楠山正雄訳、青空文庫。本文、図書カード No.42379。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3
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BlueReaderの青空文庫EPUB変換ガイド。青空→EPUBによる変換、EPUBのアップロードとサーバー解析、同じアカウントでの読書継続について。 ↩