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『吾輩は猫である』はどこが面白い?猫の観察から読むガイド

夏目漱石『吾輩は猫である』の冒頭の先を楽しむための案内。猫・主人・訪問客の見方、会話や脱線の読みどころを、結末に触れずに紹介します。

有名な冒頭は知っている。でも、そのあとを読み始めると、人間の会話が長く、どこへ話が向かっているのか分からなくなる。『吾輩は猫である』には、そういう入りにくさがあります。

この作品を楽しむ手がかりは、事件の解決を待つことではありません。猫が人間をどう眺め、その猫自身がどう語るかを読むことです。結末を明かさず、初めの章から試せる読み方をまとめます。

猫がかわいい話、だけではない

名前のない猫が人間の家へ入り、教師である主人や、その周囲の人々を観察します。猫は人間の行動について自信たっぷりに意見を述べ、ときには人間に負けないほど気取った語り方もします。1

かわいい猫のしぐさを探すだけでは、会話や議論が遠回りに感じられるかもしれません。人間が自分をどう見せたがるかを、別の生き物の目を借りて眺める作品として読んでください。

猫が説明しているからといって、その説明が絶対に正しいわけではありません。まず猫に笑わされ、次にその猫の言い方が気になってくる。この二段階を行き来すると、語りそのものを楽しめます。

最初の章は、三つの視線で読む

猫が見たもの

主人がどんな場所にいて、何をしているのか。動作として本文に書かれたことを拾います。生活の細かいものを見るとき、猫がどの部分へ注意を向けるかも読書の対象です。1

猫がそこから考えたこと

動作のあとに続く評価や理屈を分けてみます。猫の考えがもっともらしいほど、本当にその場面から言えることなのかを疑うと、面白さが増します。

読者である自分が思ったこと

猫に同意した箇所、言いすぎだと感じた箇所を一つずつ探します。人間を批判する猫と、読者がいつも同じ方向を向く必要はありません。

この三つを区別するのに、全文へ印を付ける必要はありません。初めの一場面だけで試したら、あとは話を聞くつもりで読み進めてください。

会話は「正しい知識の説明」だけを期待しない

主人のところへ人が来て会話をする場面では、内容だけでなく、どんなふうに話すかも面白さの一つです。話を大きくする人、相手の言葉をかわす人、もっともらしく説明する人。それぞれに違う調子があります。1

知らない引用や専門的な言葉が出ても、全部調べてから進む必要はありません。まず「この人は何を説明しているふりをしているのか」「相手は納得したのか、からかわれたのか」を見ます。

内容がよく分からなくても、会話の態度が分かる場合はあります。逆に、言葉の意味を一つ確かめるだけで冗談が見えてくることもあります。調べる量は、面白さが途切れない程度にとどめてください。

脱線を、失敗したあらすじとして読まない

長い話が始まると「結局何の話だったか」と考えたくなることがあります。しかし、この作品では話し手の寄り道や、そこへ入る猫の評価そのものも読みどころです。1

筋に関係しそうな段落だけを拾うより、一度、実際の集まりで会話を聞いているつもりになってください。誰が一番話しているか、誰の話題へ戻るか。流れを眺めるのも楽しみの一つです。

長い一章を一息で読む必要はありません。訪問の場面が終わったところや話題が切り替わったところで区切り、再開するときは少し前の会話から戻ると声を思い出しやすくなります。

こんな気分の日には、別の漱石でもよい

とにかく出来事が先へ進む話を読みたい日は、この作品の寄り道が合わないこともあります。そんな日は『坊っちゃん』など、調子の違う作品を選んでください。途中で作品を替えても、読み手として失敗したことにはなりません。

漱石の最初の一冊を選び直すなら『こころ』以外の5作品へ。猫が登場する違う世界を試すなら猫の文学4選もあります。

読後に残したい、三つの小さな発見

読み終えた章について、いちばん大げさな言い方、思わず同意した観察、猫に言い返したくなった意見を一つずつ思い出してみてください。

風刺の対象をすべて特定するより、自分が何に笑ったかを知るほうが、次の章へ進む動機になります。登場人物の発言を、そのまま作者の意見とみなさないことも大切です。

最後の展開を検索しなくても、今読んでいる会話だけで十分に楽しめます。面白さを一つの答えにまとめず、章ごとに違う発見を残してください。

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『吾輩は猫である』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

まずは青空文庫の本文で語り口を確かめられます。長く付き合いたくなったら、テキストZIPを青空→EPUBで変換し、BlueReaderへEPUBをアップロードします。サーバーでの解析後、同じアカウントでPCとスマートフォンから続きを開けます。2

変換と追加の手順は別記事へ。まずは猫が主人を観察する一場面を、猫自身の語り方にも目を向けながら読んでください。

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Footnotes

  1. 夏目漱石『吾輩は猫である』、青空文庫。本文、図書カード No.789。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  2. BlueReaderの青空文庫EPUB変換ガイド。青空→EPUBによる変換、EPUBのアップロードとサーバー解析、同じアカウントでの読書継続について。 ↩

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