BlueReader

EPUB READING GUIDE

『私本太平記』を読む前に|足利尊氏と周囲の人物から入る読書ガイド

吉川英治『私本太平記』を「あしかが帖」から読むための案内。青空文庫の全13帖の順番、冒頭の又太郎と一色右馬介、人物の呼び名を追う方法を紹介します。

『私本太平記』を読んでみたい。でも、武家と公家の関係や人名を全部覚えてからでないと難しいのではないか。そう考えて、最初のページを開く前に止まっていませんか。

吉川英治のこの小説は、「あしかが帖」から始まる13帖として青空文庫に公開されています。時代の全体像を暗記していなくても、冒頭の若者と、その世話をする人物のやりとりから読み始められます。12

ここでは先の展開を説明せず、最初の場面と、読み進めるための巻一覧を用意します。

古典の『太平記』ではなく、吉川英治の小説

題名は似ていても、『私本太平記』は吉川英治の小説です。古典『太平記』の本文でも、その逐語的な現代語訳でもありません。作家名まで確認してファイルを選んでください。2

歴史上の人物が登場しますが、その会話や心の動きは小説の叙述です。物語から受けた印象は、史実の人物への評価ではなく、この作品の描き方として受け止めてください。

最初に開くのは「あしかが帖」

冒頭は、京都の大晦日です。居酒屋で眠ってしまった若い又太郎を、一色右馬介が起こそうとしています。除夜の鐘を待つ町、初めて見る都、帰りを気にする連れ。まずはその場の空気と会話から入っていけます。2

冒頭の呼び名場面で分かる関係
又太郎若い主人として、右馬介に呼びかけられる
一色右馬介連れの世話をし、帰りや周囲を気にする人物

足利尊氏の名前を目当てに読みに来た方も、最初の呼び名を見落とさないでください。人物の名や呼ばれ方の対応は、本文で紹介された時点でメモに書き足せば十分です。

『私本太平記 01 あしかが帖』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

青空文庫の13帖を順番に並べる

以下は2026年9月27日に公式の公開中一覧で確認した順番です。題名の漢字が読みにくいときは、番号と図書カードを手がかりにしてください。1

公開番号巻・項目図書カード
01あしかが帖No.52421
02婆娑羅帖No.52422
03みなかみ帖No.52423
04帝獄帖No.52424
05世の辻の帖No.52425
06八荒帖No.52426
07千早帖No.52427
08新田帖No.52428
09建武らくがき帖No.52429
10風花帖No.52430
11筑紫帖No.52431
12湊川帖No.52432
13黒白帖No.52433

「あしかが帖」が最初の本文です。好きな巻を選んで読む短編集ではないので、番号順に読み進めてください。

最初の相関図は、小さく作る

時代全体の人物関係を一枚にまとめた図は便利な反面、後半の出来事まで含む場合があります。初読では、いまの場面にいる人物だけを書き出します。

たとえば「一緒に来た」「迎えに来た」「誰かに紹介された」という、具体的な接点だけで結びます。今は誰に従っているか、誰を警戒しているかも、本文で示された範囲だけを記します。

呼び方が変わったように見えたら、新しい人物を無条件に増やさず、前の説明を確かめます。逆に姓が同じだから同一人物だとも決めない。曖昧な関係には疑問符を付けておき、次の場面で直せば足ります。

土地は「今いる場所」と「向かう場所」から

いくつもの地名が並ぶとき、最初から全部の位置を正確な地図へ置く必要はありません。場面の出発地、到着先、今いる土地の三つを分けるだけでも、行動を追いやすくなります。

冒頭なら、京都の町の様子と、初めて都に来た若者の受け止め方が入口です。語り手の説明が遠い地域へ広がったら、人物が実際に移動したのか、背景の説明なのかを区別してください。

作中の景色は、現在の観光案内とは違います。現代の地図を使う場合も、作品内の地名と表記や範囲が同じとは限りません。

「誰が正しいか」より、誰が何を知っているか

登場人物が増えたら、それぞれが持っている情報の違いに目を向けてください。読者が別の場面で知ったことが、その人物にはまだ伝わっていない場合もあります。

一つの台詞で人物を判断せず、どの相手に、どんな状況で言ったのかを確かめます。歴史上の人物を善悪で仕分けるより、小説が場面をどうつないでいるかを楽しんでください。

史実との違いが気になったら、読後に調べる項目として残しておきます。読んでいる途中で、すべての問いに答えを出す必要はありません。

次の帖へ移る前に、一行だけ振り返る

「誰がどこにいて、何をしようとしているか」を一行で残します。読んだ内容の完全な要約より、再開の手がかりを作るためのメモです。

内容を忘れたら、その一行と直前の小見出しを見て戻る場所を探します。毎回最初の帖から読み直す必要はありません。

EPUB化は、公開番号と帖名を対応させる

各帖の図書カードでテキストZIPを保存し、青空→EPUBで変換します。BlueReaderへは生成したEPUBをアップロードし、解析後に読みます。複数の帖が自動で一冊にまとまるわけではないので、ファイルごとに区別して保管してください。3

青空文庫をEPUBに変換してBlueReaderで読む方法

まずは「あしかが帖」の年越しの町へ。時代の全貌より先に、そこで話す人の声に耳を傾けてください。

次の読書につながる記事

歴史小説・時代小説の最初の一作

『新書太閤記』の分冊と始め方


Footnotes

  1. 青空文庫・吉川英治の公開作品一覧。私本太平記01〜13の巻名と図書カードを確認。 ↩ ↩2

  2. 吉川英治『私本太平記 01 あしかが帖』、青空文庫。本文、図書カード No.52421。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3

  3. BlueReaderの青空文庫EPUB変換ガイド。青空→EPUBによる変換、EPUBのアップロードとサーバー解析、同じアカウントでの読書継続について。 ↩

入手したEPUBをBlueReaderで読む

EPUBを本棚へ追加し、サーバーでの解析後にブラウザから開けます。

ログインしてEPUBを追加する