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EPUB READING GUIDE

『舞姫』を初めて読む人へ|文語文と序盤の人物を読みほどく

森鴎外『舞姫』の文語文に戸惑う方へ。船上の現在とベルリンの回想、「余」という語り手、冒頭の文の区切りを例に、原文へ入る方法を説明します。

『舞姫』を開いて、最初の一文で止まってしまった。学校で扱った記憶はあるけれど、原文を自分の読書として楽しんだことはない。そんな方へ、冒頭から読み進めるための手がかりをまとめます。

全文の現代語訳や結末の説明は載せません。船上の現在と過去の回想を分け、誰が語っているかと文の区切りを確かめながら、まず一場面を読めるようにします。

はじめはベルリンではなく、船の中

冒頭では船に石炭が積み込まれ、語り手が一人で室内にいます。そこから五年前の旅を思い返し、自分の経験を書こうとする流れになります。出来事が起きた順に語られるわけではありません。1

まず、時間を次の二つに分けて考えます。

時間の位置読むときの確認
今の船上過去を語ろうとしている人がいる
回想の中若い頃の経験と、その時の考えが語られる

今の語り手は、回想の中の自分をどう説明し直しているのか。「その時そう思ったこと」と「今振り返って言っていること」を分けるだけで、文章はずっと読みやすくなります。

「余」は、語っている太田豊太郎

本文の「余」は一人称です。序盤で名が示される太田豊太郎は、勉学や官の仕事を経てドイツへ向かいます。豊太郎を作者森鴎外その人と重ねて読む必要はありません。作品には作品の語り手がいます。1

人名が増える前に、「余=この経験を振り返っている人物」と押さえておきます。豊太郎が語る過去に、読者がいつも賛成する必要はありません。本人が何を言い訳にし、何を運命のように話すかも、読みどころの一つです。

冒頭の短い一文を、意味のまとまりで読む

石炭をば早や積み果てつ。

森鴎外『舞姫』冒頭。表記はリンクした本文に沿い、ルビは省いています。1

「石炭をば」は、石炭を取り上げて述べる部分です。「積み果て」は積み終えること、「つ」はここでは完了を示します。文全体を大まかに捉えるなら、「石炭はもう積み終えた」となります。

一語ずつ現代語に置き換えるより、何がどうなったのかをまとまりで捉えます。品詞分解を全部終えなくても、最初の場面は読めます。

続く説明では、普段集まる人々が外に泊まり、船に残った語り手が一人であることが分かります。明かりはあっても、にぎやかではない。この状況を思い描いておくと、長い回想へ入っていく流れを追いやすくなります。1

地名の見た目で止まらない

本文では独逸、仏蘭西などの表記に、ドイツ、フランスといった読みが付いている箇所があります。漢字の意味を一字ずつ考えず、ルビと前後の文から地名として受け取れば十分です。1

リンク先の図書カードは新字旧仮名です。漢字が新字体でも、仮名遣いや文体は現代の話し言葉とは違います。「新字だから口語文のはず」とは考えず、ルビまで表示できる本文を使うと読みやすくなります。

ふりがなが小さすぎて読みにくいなら、読解力の問題と決めつけず、端末の表示設定を見直してください。ただし、ルビのない語に自動で読みが付くとは限りません。

序盤の人物は、関係だけを押さえる

豊太郎の周囲では、母の期待、官の仕事、ベルリンで出会う人々が、それぞれ違う方向から本人に関わります。物語が進むとエリスとの関係や、知人とのつながりが重要になります。1

先の展開まで載った相関図を見るより、読んだ時点で「家族」「仕事のつながり」「新しく出会った人」と大まかに分けてください。見るのは、その人物が最後に何をするかではなく、今の豊太郎にどんな言葉をかけているかです。

人物をすぐに善人か悪人かに分けず、語り手が相手について何を知り、何を知らないのかにも目を向けてください。

一度目は場面、二度目は言い方

初読では、船上から回想に入ったこと、どこへ移動したか、誰と話したかを追います。気になった段落だけを読み返し、なぜそう説明しているのかを考える。こうすれば、すべての文を同じ深さで読む負担が減ります。

たとえば、自分の選択を語る箇所で、本人の希望と周囲の期待を区別する。過去を振り返る語りならではの読み方です。結末に触れる解説は、初読を終えてから読むことを勧めます。

内容には経済的な困窮や人間関係の重さがあります。題名から華やかな芸術家の物語を想像すると戸惑うかもしれません。語り手はなぜ今これを書こうとしているのか。その問いを持って読み進めてください。

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『舞姫』を青空文庫で読む / 図書カード・本文・配布情報

本文を少し読んで続けたくなったら、テキストZIPを青空→EPUBで変換し、BlueReaderへEPUBを追加します。アップロードとサーバー解析を経て読む手順は青空文庫のガイドにあります。2

まずは冒頭の船内が頭に浮かぶところまで。その小さな場面が、長い回想へ入る足場になります。

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Footnotes

  1. 森鴎外『舞姫』、青空文庫。本文、図書カード No.2078。作品の紹介と表記・版の確認に参照。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  2. BlueReaderの青空文庫EPUB変換ガイド。青空→EPUBによる変換、EPUBのアップロードとサーバー解析、同じアカウントでの読書継続について。 ↩

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